コンテナハウスには固定資産税がかかる? -税金事情徹底解説-
建築・知識
コンテナハウスを検討している方、またはすでに所有している方、固定資産税についての正しい知識を持っていますか?コンテナハウスはその手軽さとデザイン性から近年注目を集めていますが、固定資産税の問題をクリアにしないとトラブルや思わぬ出費を招くことがあります。
この記事では、固定資産税の基本知識から税額を節約するための具体的な方法までご紹介していきます。
コンテナハウスに関わる固定資産税
ここでは、コンテナハウスが固定資産税にどう影響するのかを詳しく解説していきます。まず、コンテナハウスが固定資産税に与える影響について理解するために、基本的な条件や計算 方法から見ていきましょう。
「コンテナハウスに固定資産税はかからない」は誤解
「コンテナハウスには固定資産税がかからない」というのは大きな誤解です。
「コンテナハウスは設置が簡単」、「ガレージや小屋と同じ簡易な工作物である」などといった認識により、固定資産税の対象外と考えてしまう方が少なからずいるようです。
確かに、イベント用の仮設ブースなど一時的に使用されるコンテナハウスなどは、固定資産税が課されない場合もありますが、これはあくまで一例であり、コンテナハウスの使用目的や状況・設置場所によっては一般の建築物と同様に課税対象となります。
そもそも固定資産税とは
固定資産税とは、市区町村が課税する税金(東京都は都税)であり、土地や建物などの不動産に対して課されます。土地や建物ごとの価値に応じて税額を決める必要があるため、不動産の評価額に基づいて納税額は算出されます。
固定資産税を支払う人
固定資産税は、不動産の所有者が毎年支払う税金です。不動産の所有者とは、毎年1月1日時点で所有者として各市町村に備えつけられた固定資産台帳に登録されている人(=課税対象者)となります。
固定資産税がかかるコンテナハウスの条件
固定資産税は 「固定資産」として認識される「建築物」 に対してかかる税金で、通常は持続的な居住や営利活動が行われる構造物に課税されます。以下の3つの条件を満たした建築物は、固定資産税の課税対象になります。コンテナハウスも同様です。
条件 | 説明 | 例 |
土地定着性 | 土地に固定され簡単には移動できない状態 | 基礎工事などで土地に物理的に固着された場合 |
外気遮断性 | 外気を遮断する閉鎖された空間構造になっている | 屋根や壁、扉などで外気と区切られている |
用途性 | 建造物が家屋本来の目的を果たせる状態であるか | 居住目的の住居、貯蔵目的の倉庫など |
建築物とみなされやすい実例
基礎工事により地面に固定され、継続的に使用されることが前提とみなされる場合
ライフライン(例:電気、水道、ガスなど)と着脱が容易でない方式で接続されている場合
付帯設備(例:テラス、階段など)の設置により、随時かつ任意に移動が困難な場合
車両用ガレージなど、簡易な造りであっても壁や屋根などで外気と完全に遮断される場合
◎近年流行のトレーラーハウス(車両を利用した工作物)でも、上記の条件を満たすと課税対象とみなされることがあるので注意が必要です。
◎細かい条件や判断は地域によっても異なるため、同様の建築物でも場所が変われば判断が異なることはあります。
建築基準法の適用
固定資産税の対象である、つまりコンテナハウスが建築物であるとみなされる場合、建築基準法の適用を受けることになります。建築基準法とは、安心・安全な国民生活を保証するため、建物に対して安全性や耐震 ・耐火性など、最低限の基準を国が定めた法律です。違反すれば罰則があり、除却や使用禁止、是正命令や罰金刑などの対象となります。そのため、建築基準法を遵守した適切なコンテナハウスを検討することが必要です。
コンテナハウスにかかる固定資産税の計算方法
固定資産税の計算方法の基本
固定資産税の税額は、
①課税標準額 × ②標準税率 = 固定資産税額
で求められます。コンテナハウスの固定資産税を計算する場合も、同様の手順を踏む必要があります。
①固定資産の課税標準額:固定資産の価格(評価額)。固定資産評価基準に基づいて行われた固定資産の評価をもとに算定する。
②固定資産税の税率:原則として全国一律(1.4%)
コンテナハウスの固定資産税の計算例
例えば、コンテナハウスの建設費用が500万円かかったとします。このコンテナハウスの評価額が300万円とされた場合、仮に標準税率が1.4%とすると、固定資産税は以下のようになります。
300万円(①課税標準額) × 1.4%(②標準税率) = 4万2000円(固定資産税)
なお、固定資産税の税率(②)は原則として全国一律ですが、その前提となる固定資産の評価額(①)は地域・物件により差があります。自治体や物件に関わる詳細な情報を取得して正確な税額を把握することが大切です。
コンテナハウスの節税ポイント
固定資産税は大きなコストとなり得ますが、適切な対策を講じることで節約することが可能です。ここでは、固定資産税を節約するためのポイントを解説します。
低地価地域への設置を検討する
地域によって固定資産税の額が大きく異なることがあるため、コンテナハウスを設置する場所は、税負担の少ないエリアを選ぶことをおすすめします。適切な設置場所の選定は長期的な税額節約につながります。
一般に、都市部よりも地方の低地価地域にコンテナハウスを設置した場合の方が、固定資産税の負担が少なくなる傾向にあるようです。とはいえ、実際の課税評 価額や判断基準は各自治体によって異なります。正確な金額や条件を各自治体の課税課へ確認した上で設置を検討しましょう。
固定資産税の税制優遇措置を活用する
税制優遇措置を利用することで、固定資産税の負担を軽減できる場合があります。
たとえば、「新築住宅に対する減税措置」は一般的によく知られている優遇措置のひとつで、「新築住宅にかかる固定資産税を3年間2分の1に減額する※」という制度です。
※2024年4月現在、2026年3月31日までの新築物件が対象。物件や自治体によっても条件が異なる場合があるので注意。参考リ ンク:新築住宅に係る税額の減額措置 - 国土交通省
このほか、一定の条件下でリノベーションした住宅やエコ住宅に対しても優遇措置が設けられてる場合があります。
このような優遇措置を有効に活用するためには、事前に自治体や税務署に問い合わせるなどして、具体的な要件や申請手続きについて確認することが大切です。
コンテナハウスの仕様を見直す
固定資産税額は、その評価額に比例します。
コンテナハウスは一般の建築と比べ構造や仕様が簡易なことから、一般的に固定資産税の評価額が低くなる(=固定資産税が低い)傾向にあります。しかし、コンテナハウスの評価額も構造や用途、仕様などが影響するため、多数のコンテナを連結した大型のものや、高性能・高価な素材や機材を 採用したコンテナハウスはそうでないものより評価額が高くなる場合があります。
コンテナハウスの評価額が上がると固定資産税も高くなる点を考慮し、必要以上に特殊な仕様にしすぎないことも重要です。
まとめ
本コラムでは、コンテナハウスと固定資産税について解説しました。
現在、コンテナハウスの購入や設置を検討している方は、固定資産税に関する適切な対策を講じることが重要です。
コンテナハウスの特性、固定資産税の計算方法と条件、税額節約のポイントを理解することで、コンテナハウスを有効に活用できます。導入時に税務署や専門家に相談することはもちろん、設置後も定期的に税制や法律のアップデートを確認し、税額節約の方法を検討しましょう。