トレーラーハウスにまつわるメリット&デメリット徹底解説
建築・知識

近年、日本でも注目度が高まり、市場規模の拡大を見せているトレーラーハウス。レジャー用のイメージが強かったトレーラーハウスですが 、最近は居住用のほか、店舗や宿泊棟、災害対策など様々な用途で活用されています。
ここではそんなトレーラーハウスについて、その特徴やメリット、デメリットについてご紹介します。
そもそもトレーラーハウスとは?
トレーラーハウスとは「移動可能な家」
トレーラーハウスとは、タイヤ付きのフレーム(シャーシ)の上に建物を載せた移動可能な建物を指します。そのため、設置工事などは不要で何度でも移動ができるのが大きな特徴ですが、キャン ピングカーのように自力走行はできません。あくまで別の自動車でけん引して移動することが前提です。
こうした性質から、自由なライフスタイルを求める人や災害時の仮設住宅や移動式店舗など、様々な場面で活用され始めています。
トレーラーハウスの価格について
トレーラーハウスの価格は、サイズや設備仕様、メーカーやデザインなどによって大きく変動します。ここでは新車の本体購入価格の目安をご紹介します。
小型・小規模のトレーラーハウス:約100万円〜300万円程度
例)1室~のスモールタイプ、各種設備なしor最小限の簡易モデル、内装がないスケルトン仕様など
中型・標準的なトレーラーハウス:約300万円〜600万円程度
例)複数室~の構成、短~中期滞在や宿泊に対応できる程度の広さ・設備など
大型・高級トレーラーハウス:約600万円〜1000万円以上
例)複数人の利用が可能、長期滞在や店舗など特殊用途に対応できる設備、オーダーメイドやカスタムモデルなど
※1 上記本体価格に加え、輸送や設置作業、車検や税金などの各種申請作業を依頼する場合はその費用も別途必要になります。
※2 輸送や申請処理など、購入者自身で行う場合は必要経費だけですみますが、けん引免許などの資格が必要になることもあるので注意が必要です
いずれの場合も、詳細な見積もりや仕様をメーカ ーや販売業者によく確認し、実際に必要な費用や手続きについて十分理解した上で購入を検討しましょう。
トレーラーハウスのメリット
トレーラーハウスには、他の住宅とは異なるメリットが多数存在します。特に移動の自由度と税制面での恩恵は大きな魅力であり、ライフスタイルの多様化に柔軟に対応できる住まい方として認識が高まっています。
移動や設置の高い自由度
トレーラーハウスの最大の特徴は、必要な機能を備えた住空間を「任意に移動させられる」「基礎工事が不要で設置できる」点にあります。これにより、
季節や環境、利用状況の変化に応じて設置場所を変えられる
市街化調整区域のように建物の建築が制限されるエリアでも、設置できる可能性がある※
といったメリットがあります。
住宅として季節や環境を楽しむために移住したり、移動店舗や出張サービス業の建屋としてニーズに合わせて移動する、といった使い方もできます。この自由度は、一般的な建築物とは異なる大きな魅力だといえます。
※一部設置することができない地域や設置に条件がある地域があります。
固定資産税など建築物特有の税金がかからない
トレーラーハウスが【車両】としての条件を満たした場合、不動産ではなく動産=自動車として扱われるために固定資産税や不動産取得税はかかりません。ランニングコストや設置のハードルを抑えられる点は大きなメリットといえるでしょう。
ただし、設置場所や自治体によっては個別の条件があったり、使用状況によっては車両とは認められずに建築物扱いとなる可能性があるので注意しましょう。また、【車両】としての条件を満たした場合、車両特有の税金(自動車税、重量税、自動車取得税など)はかかるのでこの点も気を付けましょう。
災害時の活用や仮設住宅としての可能性
近年、トレーラーハウスの災害時の緊急避難所や仮設住宅としての可能性が注目されています。
災害大国ともいわれる日本において、被災地での設置や撤去がスムーズに行えるトレーラーハウスは注目される大きな理由のひとつです。非常時に備え、常に大量のトレーラーハウスを各地に保持するために、平 常時はレンタルハウスやホテルとして活用している企業や団体もあります。
トレーラーハウスのデメリット
多くの魅力的なメリットがある一方、考慮しておきたいデメリットも当然存在します。
設置場所や地盤の条件に伴う課題
いくら基礎工事が不要とはいえ、それなりに重量のあるトレーラーハウスを支える土地は、ある程度の強度と平坦さが求められます。
地盤が弱かったり大きな傾斜がある場合は、安全性を確保するために地盤改良や別途の補強が必要になるケースがあります。そのため、安易に“どこでも設置できる”わけではなく、実際には事前調査が重要です。
ただし、その地盤の改良などで「建築物」としての条件を満たしてしまうと、トレーラーハウスの利点がなくなってしまうので、その点にも注意が必要です。
設置条件や法的な制約
市街化調整区域など新規の建築に規制があるエリアでも、車両扱いのトレーラーハウスなら設置可能な場合があり、その自由度は大きな魅力でもあります。しかし、「車両」ではなく「建築物」としての条件を満たしてしまうと、建築基準法や消防法の対象となるなど、トレーラーハウスの利点がなくなってしまうことがあるので注意が必要です。
「建築物」としてみなされる恐れのある場合
重量のあるトレーラーハウスを支える地盤改良や基礎で容易に動かせないと判断された場合
長期間の使用を前提とした設置であると判断された場合
周辺設備やライフラインの接続などで安易に動かせないと判断された場合
○建築物となる対象の条件については、以下のコラムページでも紹介しています。コンテナハウスには固定資産税がかかる? -税金事情徹底解説- コラムページ
そのほか、地域や自治体、用途や仕様など細かな規制があったりもするので、購入前に必ず行政や専門家に相談しトラブル回避につなげましょう。
ライフライン(電気・水道・ガス)の確保
トレーラーハウスで生活するには、電気や水道、ガスなどライフラインの確保が不可欠です。周辺の施設や設備が利用できない場合、トレーラハウス自体で確保する設備が必要となるため、初期費用が大きく膨らむことがあります。
以下に、 トレーラハウスでも利用できる主な方法を紹介します。
【電気】活用範囲が広く、他ライフラインの代用にもしやすい反面、使用量も多く確保が困難なことも。
蓄電池・バッテリー
長所:比較的安価で入手が容易、小型のものも多く携帯性に優れる
短所:都度充電が必要、比較的容量や電圧が小さく中には使用不可の機器も
ポータブル発電機
長所:大容量の電力が使用可能で業務用にも対応。
短所:使用音が大きい、ガソリンなど燃料の取り扱いに注意が必要
太陽光パネル
長所:基本置くだけのため容易、燃料を必要としない
短所:天候や場所、時間帯に発電量が左右される、安定した利用には補助機材が必 要
【水道】保存に物理的なスペースが必要な上、排水処理の問題も。飲料用とそれ以外で分ける運用も多い。
雨水利用
長所:ランニングコストが低い、設備次第だが貯水に作業を必要としない
短所:用途や利用量が制限される場合がある、雨量が少ない地域や時期には適さない
貯水・給水タンク
長所:飲料用の安全な水が入手できる、水自体への処理が基本不要
短所:都度補給が必要、大量の使用には基本適さない
【ガス】扱いや補給に難しいところがあるが、飲食店など業務用機器の利用時には必要不可欠なことも多い。
プロパンガス
長所:火力・エネルギーが大きい、調理用・業務用機器など代替不可な場合も
短所:補給可能な場所に制限がある、危険物のため取り扱いに注意が必要
カセットガス
長所:携帯・補給が比較的容易、対応機器の入手が容易な場合が多い
短所:業務用途にはパワー不足なこともある、ストック時は使用期限・保管方法に注意が必要
手段については、トレーラーハウスの利用用途や予算、法規制などを総合的に考慮して、場合に よっては使い分けたりするなどして、快適な居住環境を目指しましょう。
耐久性やメンテナンスの課題
トレーラーハウスは一般住宅に比べると、移動に耐える軽量構造ゆえどうしても耐久性に限界があります。一般的な住宅が数年~十数年単位でメンテナンスすることを考慮すると、少なくともそれと同等かそれよりも短いスパンでこまめにケアが必要です。
同時に、車両としても車検や定期点検などの整備が必要です。乗用車ほど動かす頻度が高くないからこそ、いざ移動したいときに動かない、ということがないようにしましょう。建築物と車両のハイブリッドであるトレーラーハウスですが、安全かつ快適に住み続けるには「建物」と「車両」の両方の面からのケアが不可欠です。
もしそういったメンテナンスに不安がある場合、レンタルやリースで短~中期利用を行っている業者もあるので、検討してみてはいかがでしょうか。
運搬や輸送に関する制約
トレーラーハウスは移動が可能とはいえ、けん引には車両や免許、専用の運搬ルートが必要で、その手配が難しい場合も少なくありません。
【トレーラーハウスと車検】
トレーラーハウスを 車両とした場合、さらに車検の有無によって以下の2つに分類できます。
車検付きタイプ
車両サイズが道路運送車両の保安基準※の規定以内のタイプ。いわゆる自動車と同じ扱いとなり車検を取る事が出来ます。車検を取得する事でナンバープレートが交付され、公道を自由に走行する事が出来ます。
※車両サイズ:全長1.2m×全幅2.5m×全高3.8m以内
大型特殊タイプ
上記の保安基準を超えたサイズのタイプで、車検は取れないためナンバープレートは交付されません。一般の車両扱いではないため、道路を走行する際には規制・制限※があります。
※「基準緩和認定書」「特殊車両通行許可証」の取得が必要、高速道路走行の不可、速度制限、交通量の少ない夜間の走行、など
特に大型特殊タイプのトレーラーハウスは制限が多く、総重量750㎏を超える車両のけん引を行う場合はけん引免許の取得が必要です。専門業者に依頼する場合も輸送費用が高額になる傾向があり、移動するたびに費用がかかる点には留意しましょう。
トレーラーハウスのような小型の空間をご検討中の方へ
適切な広さ・設備を備えた空間を検討中の方にとって、トレーラーハウスの自由度の高さや建築的ハードルの低さは大変魅力的です。
しかし、もしも
「比較的安価で快適な空間が欲しい」
「設置に時間や費用を極力かけたく ない」
といった条件で検討されている場合、「LIBERA CABIN Octa outdoor style(リベラキャビンオクタ アウトドアスタイル)」もおすすめできるかもしれません。
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まとめ
トレーラーハウスは、設置の自由度や固定資産税の免除など多くの利点や、災害時の仮設住宅や別荘、ビジネスの拠点など、多彩な用途に対応できる可能性を秘めた魅力的な建物です。その一方、設置場所の法的制約やライフラインの確保、移動時のハードルの意外な高さなど、多くの課題を抱えてもいます。
メリットを最大限に活かしつつリスクを上手にコントロールして活用するためにも、トレーラーハウスや法律の専門家や関係団体・行政に相談しながら、納得できる形で準備を進めていくことが大切です。